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改正民法と共同親権:離婚後の親子関係はどう変わる?

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改正民法と共同親権:離婚後の親子関係はどう変わる?

改正民法と共同親権:離婚後の親子関係はどう変わる?

2026/01/20

1.なぜ今、制度が変わるのか
従来の制度下では、離婚後は必ずどちらか一方の「単独親権」とされていました。しかし、これでは親権を持たない側の親(別居親)が養育から疎外され、結果として養育費の不払いや親子交流(面会交流)の途絶を招くという深刻な事態が生じていました。

厚生労働省の令和3年度調査によれば、養育費の履行率は母子家庭で28.1%、父子家庭ではわずか8.7%という極めて低い水準に留まっています。このような社会情勢に鑑み、子の養育への深刻な影響を回避するために抜本的な見直しがなされました。

国際的にも、多くの国が離婚後の共同親権を採用しています。法務省が海外24か国を対象に行った調査では、実に22か国が離婚後の共同親権制度を導入していました。また、発達心理学の研究においても、一般的には離婚後の父母双方が適切な形で養育に関わることが、子の心身の発達に良い影響をもたらすと指摘されています。国連の児童の権利委員会などからも、子の最善の利益のために共同養育を認めるよう勧告を受けていた背景もあります。

2.共同親権の具体的な仕組みと行使ルール
新民法第819条では、父母が離婚する際、その協議によって「父母双方」または「一父母の一方」を親権者と定めることが可能になります。
協議が調わないときは、家庭裁判所が子の利益を最優先に考え、双方を親権者とするか、一方を親権者とするかを判断します。
親権者を定めるにあたっては、子の意見を適切な形で尊重し、人格を尊重しなければならないと定められています。裁判所は、子の年齢や発達の程度に応じてその意思を考慮し、特に15歳以上の子については陳述を聴かなければなりません。
なお、改正法では、親権者の変更を申し立てることができる権限が拡大され、新民法第819条第6項により、子自身が家庭裁判所に対して親権者変更の申立てを行うことができるようになります。これにより、子供が自分の意思で「両親に親権を持ってほしい」あるいは「今の親権者を変えてほしい」と訴える道が開かれました。

共同親権となった場合、親権(身上監護権および財産管理権)は原則として父母が共同で行使します。しかし、日々の些細な決定まで全て合意が必要となると生活に支障が出るため、改正法では以下の「単独行使」を認める例外を設けています。

・急迫の事情があるとき
 例えば、救急医療が必要な場面や、期限が迫った教育上の手続きなど、他方の親の同意を得る時間的余裕がない場合には、一方が単独で親権を行使できます。

・日常の身の回りに関する事項
食事の内容、習い事の選択、軽微な病気での通院など、日々の監護に関する事項については、一方が単独で判断できる仕組みが導入されます。

以上により、共同親権を維持しながらも、子供の日常生活をスムーズに維持することが可能となります。

3.DV・虐待事案における「単独親権」の強制規定
共同親権の導入にあたり最も懸念されるのが、DV(家庭内暴力)や虐待の継続です。改正法はこの点について厳格な安全装置を設けています。

新民法第819条第7項後段は、裁判所が「父母の双方を親権者と定めることにより子の利益を害すると認められるとき」は、必ず父母の一方を親権者としなければならないと定めています。具体的には以下のケースが例示されています。

・虐待のおそれ
父または母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき。

・DV・悪影響を及ぼす言動
父母の一方が他方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれがあるとき。

・共同行使の困難性
親権の定めについての協議が調わない理由その他の事情を考慮して、共同して親権を行うことが困難であると認められるとき。

裁判所は、父母の関係が高葛藤である場合、その表面的な対立だけでなく、理由や原因、背景事情を慎重に考慮します。家庭裁判所は職権で事実の調査を行うことができ、家庭裁判所調査官による詳細な調査を通じて、子の安全と利益を確保します。

4.施行前に出産・離婚した夫婦への適用(経過措置)
今回の法改正は、これから離婚する方だけでなく、すでに離婚されている方や施行前に出産された方にも多大な影響を及ぼします。

新民法の規定は、施行日前に生じた事項にも適用されますので、施行時に未成年であれば、新法の対象となり、すでに離婚し、どちらか一方が単独親権者となっている場合でも、施行後に父母のいずれかが家庭裁判所へ「親権者変更」の申立てを行うことができます。

親権者変更の申立てがあった場合、裁判所は、父母の協議の経過(第三者の関与の有無など)や、これまでの養育状況、現在の親子関係などを総合的に考慮し、変更が「子の利益」に適うと判断すれば共同親権への変更を認めます。

5.共同親権を選択すべきか
共同親権制度の導入は、「必ず共同親権にしなければならない」という強制ではありません。あくまで「子の利益」にとってどちらが最善かを、家族ごとに選べるようにしたものです。

離婚後も子供の教育方針や健康管理について、理性的に意思疎通を図ることができる場合や父母が互いの養育責任を認め合い、協力体制が構築できる場合は、子供にとって両親のサポートを実感できる望ましい形となり、共同親権が適していると言えます。

他方で、DVや虐待がある場合はもちろん、一方が合理的な話し合いに応じない、あるいは嫌がらせ目的で親権を行使する恐れがある場合などは、子の生活を安定させるために単独親権を維持・選択すべきであると言えます。

裁判所は、どちらの親権が認められやすいかという画一的なルール(例えば「迷ったら共同親権」など)は採用していません。父母と子の関係、父母同士の関係その他一切の事情を考慮して、個別具体的に判断されることになります。

おわりに
民法改正による共同親権の導入は、日本の親子関係における「所有から責任へ」の大きな転換点です。施行日に向けて、ご自身の状況がどのように変わるのか、または現在の状況をどのように改善できるのかを正しく把握することが重要です。
「以前離婚したけれど、今の状況で共同親権に変更できるのか?」「相手が共同親権を主張しているが、DVの不安がある」といった具体的な悩みをお持ちの方は、法律の専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。改正法の正確な理解に基づき、あなたとお子様にとって最善の未来を築くためのお手伝いをさせていただきます。

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